配当金生活の為替リスク


私の目標は年間配当収入100万円(税引き後)を達成してアーリーリタイアすることです。

シミュレーションでは、期待リターン5%なら2030年8月、リターン4%なら2031年11月、リターン3%なら2033年11月には目標を達成できる見込みです。
(過去記事:運用シミュレーション

ただ、このシミュレーションでは為替の変動を無視しています。今回は過去のデータを使って、日本で米国株の配当金生活をする場合の為替リスクを考えてみました。

まず、S&P500の増配率と、ドル円の変化率を比較してみます。
S&P500の増配率はmultpl.com、ドル円はStooqのデータを使っています。


S&P500
増配率
ドル円変化率
(前年比)


S&P500
増配率
ドル円変化率
(前年比)
1989年12月13.4%15.0%2004年12月11.8%-4.5%
1990年12月9.3%-5.6%2005年12月14.3%17.5%
1991年12月1.0%-8.0%2006年12月12.0%-1.2%
1992年12月1.5%-0.1%2007年12月11.5%-6.2%
1993年12月1.6%-10.5%2008年12月2.4%-18.8%
1994年12月4.7%-10.8%2009年12月-21.1%2.6%
1995年12月4.7%3.8%2010年12月1.5%-12.8%
1996年12月8.1%12.1%2011年12月16.3%-5.2%
1997年12月4.0%12.7%2012年12月18.3%12.5%
1998年12月4.5%-13.3%2013年12月12.0%21.6%
1999年12月3.1%-9.7%2014年12月12.7%13.8%
2000年12月-2.5%11.8%2015年12月10.0%0.3%
2001年12月-3.3%15.3%2016年12月5.3%-2.8%
2002年12月2.1%-9.8%2017年3月5.7%-4.8%
2003年12月8.2%-9.6%


グラフにすると、以下のようになります。増配率よりもドル円の変化率のほうが激しく動いています。


仮に1989年12月末時点で、S&P500に投資する投資家が年間配当100万円(当時は1ドル143.79円なので、ドル建てでは6,955ドル)を達成してリタイアしたとします。リタイア後の配当は再投資せず、元本には手をつけないものとして、円換算配当の推移を計算してみました。
※計算を簡単にするため、1年間に受け取った配当はまとめて年末のレートで円に替えるものとしています。 インフレ、税金はややこしいので無視しました。

この場合、1991年12月~1995年12月の5年間は円換算配当が100万円を下回ってしまい、底の1994年12月には82万5,000円に減ってしまいます。5年間はバイト等で不足分を穴埋めするしかありませんが、最大でも年間18万円程度稼げばいいだけなので、労働時間はごくわずかで済みます。

その後、年間配当はリーマンショックで一時的に大きく落ち込みますが、一度も100万円を下回ることなく、2017年3月時点では約340万円にまで成長しています。不労所得340万円は私にとって、もはや貴族の域です。


次は同条件で、2007年12月末時点で円換算配当100万円(当時は1ドル111.64円なので、ドル建てでは8,957ドル)を達成、リタイアした場合の推移です。
今度はちょっと大変そうです。100万円を下回る期間は5年間(2008年12月~2012年12月)で先ほどのシミュレーションと同じですが、底の2010年12月には59万5,000円まで大きく減ってしまいます。

リタイア後の収入4割減は精神的にかなり辛そうですが、それでも最大で年間40万円程度稼げば大丈夫です。金融危機時にはバイト求人も減るとは思いますが、時給900円で年間450時間働けば穴埋めできます。

とは言え、リーマンショック時の円換算S&P500は、高値から安値までで約65%下落しています。配当収入は4割減、資産は6割減です。暴落を経験していない私には未知の領域です。
 (過去記事:過去の暴落局面の下落率

リーマンショック時は比較的早期に高値回復しましたが、世界恐慌では回復までに25年も掛かっています。ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると、世界恐慌で配当は55%減少したそうです。同じような大暴落が現代に起こったら、きっと大幅な円高になると思うので、円換算配当はさらに悲惨なことになりそうです。

ポートフォリオの主力は減配リスクの小さいディフェンシブ銘柄にしようと心掛けています。それでも減配や考えたくはないですが、倒産のリスクもゼロではありません。仮にドル建ての配当を維持できても、円高になれば円換算配当額は減ってしまいます。

年間100万円というのはかなりギリギリの額なので、もともと目標を達成してもしばらくは働かないといけないかなとは考えていましたが、為替リスクを考えると、なおさら即リタイアというのは難しそうな気がしてきました。

私の場合、早くても10年以上先の話ですが…


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