世界各国のイールドスプレッド比較(2018年3月末)


先月に引き続き、2018年3月末の世界各国のイールドスプレッドを見ていきます。
(過去記事:世界各国のイールドスプレッド比較(2018年2月)

※イールドスプレッドは株式のバリュエーションを判断する指標のひとつです。
債券同士の利回り格差や株式と債券の利回り差を指し、それぞれの利回りを比較することで相対的な割高感・割安感を判断する指標のひとつとなる。
債券同士の場合は、一般的に長期国債を基準に、残存期間や信用度から債券利回りの割安・割高を判断する。債券と株式の場合は、長期国債の利回りから配当利回り(=年間配当金÷株価)や株式益回り(=1株利益÷株価)を引いた数値を比較する。
引用元:野村證券「証券用語解説集」


イールドスプレッド比較(2018年3月末)


PER益利回り10年国債
利回り
イールド
スプレッド
中国7.912.66%3.78%-8.88%
ハンガリー10.29.80%2.46%-7.34%
シンガポール10.49.62%2.29%-7.32%
日本14.66.85%0.05%-6.80%
韓国10.89.26%2.62%-6.64%
ドイツ14.36.99%0.49%-6.50%
イスラエル13.17.63%1.65%-5.99%
スウェーデン15.06.67%0.69%-5.98%
ロシア7.712.99%7.05%-5.94%
台湾14.56.90%1.00%-5.90%
チェコ13.37.52%1.87%-5.65%
オーストリア15.96.29%0.70%-5.59%
オランダ16.56.06%0.64%-5.42%
ポーランド11.78.55%3.18%-5.37%
スペイン15.66.41%1.16%-5.25%
アイルランド16.46.10%0.91%-5.19%
フランス17.35.78%0.73%-5.05%
ベルギー18.65.38%0.77%-4.61%
ポルトガル16.36.13%1.61%-4.53%
英国17.15.85%1.34%-4.50%
イタリア16.26.17%1.79%-4.38%
香港15.86.33%1.97%-4.36%
デンマーク20.74.83%0.54%-4.29%
スイス24.84.03%0.02%-4.01%
ノルウェー17.15.85%1.88%-3.96%
カナダ16.85.95%2.09%-3.86%
フィンランド22.84.39%0.62%-3.76%
オーストラリア16.46.10%2.60%-3.50%
タイ17.05.88%2.44%-3.44%
ギリシャ14.27.04%4.30%-2.74%
ニュージーランド20.94.78%2.74%-2.05%
米国21.84.59%2.74%-1.85%
マレーシア18.95.29%3.95%-1.34%
南アフリカ14.36.99%7.99%0.99%
フィリピン20.84.81%6.00%1.19%
トルコ9.410.64%12.19%1.55%
インドネシア19.65.10%6.67%1.57%
メキシコ18.35.46%7.34%1.88%
インド24.64.07%7.40%3.33%
ブラジル20.44.90%9.46%4.55%

※PERははStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。PER、10年国債利回りは2018年3月末時点です。
※前回はわたしのインデックス「世界各国のPER・PBR・時価総額」のデータを使いましたが、今回からはStarCapital AGのデータに変更しています。
(たとえば中国のPERは「StarCapital AG」では7.9ですが、先月まで使っていた「わたしのインデックス」では14.8と国によっては結構差があったりします。ちなみにFXI(iシェアーズ 中国大型株 ETF)のPERは11.57で、両者の中間くらいの値です。)

グラフ化すると以下のようになります。
特に割安なのは中国(-8.98%)、ハンガリー(-7.34%)、シンガポール(-7.32%)、日本(-6.80%)、韓国(-6.64%)です。

割高なのはブラジル(4.55%)、インド(3.33%)、メキシコ(1.88%)、インドネシア(1.57%)、トルコ(1.55%)です。

全体的には低金利のヨーロッパ、アジア株が割安で、高金利の新興国株が割高になっています。新興国でもPERが極端に低いロシアは割安ですし、台湾、タイなど比較的金利が低めの国もイールドスプレッドはマイナスになっています。

人口増加国のインド、南アフリカ、ブラジル、メキシコ、インドネシア、トルコ等は軒並み割高です。トルコはPER9.4と一見割安に思えますが、10年国債利回りが12.19%と非常に高く、イールドスプレッドでみるとかなり割高になってしまいます。


CAPEレシオを使ったイールドスプレッド比較(2018年3月末)

次に、益利回りの代わりにCAPEレシオの逆数を使ったイールドスプレッドを比較してみます。イールドスプレッドを計算するときにCAPEレシオを使うのが正しいのかは分かりませんが、PERを使った場合よりも一時的な要因を除けるので併せてチェックしています。


CAPE益利回り
(CAPEの逆数)
10年国債
利回り
イールド
スプレッド
ロシア6.315.87%7.05%-8.82%
チェコ10.010.00%1.87%-8.13%
スペイン13.37.52%1.16%-6.36%
イスラエル14.27.04%1.65%-5.40%
ポーランド11.78.55%3.18%-5.37%
ポルトガル14.46.94%1.61%-5.34%
英国15.36.54%1.34%-5.19%
シンガポール14.17.09%2.29%-4.80%
ノルウェー15.46.49%1.88%-4.61%
ドイツ19.65.10%0.49%-4.61%
オーストリア19.55.13%0.70%-4.43%
ハンガリー14.96.71%2.46%-4.25%
フランス20.44.90%0.73%-4.17%
フィンランド21.04.76%0.62%-4.14%
スイス24.54.08%0.02%-4.06%
スウェーデン21.14.74%0.69%-4.05%
イタリア17.75.65%1.79%-3.86%
韓国15.66.41%2.62%-3.79%
香港17.55.71%1.97%-3.75%
日本27.03.70%0.05%-3.66%
オランダ23.44.27%0.64%-3.63%
台湾21.74.61%1.00%-3.61%
ベルギー25.33.95%0.77%-3.19%
オーストラリア17.65.68%2.60%-3.08%
カナダ20.74.83%2.09%-2.74%
デンマーク34.62.89%0.54%-2.35%
タイ21.54.65%2.44%-2.21%
マレーシア16.95.92%3.95%-1.96%
中国18.25.49%3.78%-1.72%
アイルランド39.62.53%0.91%-1.61%
ニュージーランド23.54.26%2.74%-1.52%
米国29.83.36%2.74%-0.61%
フィリピン21.44.67%6.00%1.33%
インドネシア19.25.21%6.67%1.46%
ブラジル14.36.99%9.46%2.46%
メキシコ20.64.85%7.34%2.49%
南アフリカ18.55.41%7.99%2.58%
インド21.74.61%7.40%2.79%
トルコ11.58.70%12.19%3.49%
ギリシャ-5.9- 4.30%-

※CAPEレシオはStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。CAPEレシオ、10年国債利回りは2018年3月末時点です。

グラフ化すると以下のようになります。
CAPEレシオを使った場合だと、先月に引き続きロシア(-8.82%)とチェコ(-8.13%)が群を抜いて割安です。

ほかには低金利のヨーロッパが割安ですが、PERを使ったイールドスプレッドでは割安だった中国、韓国、日本は真ん中くらいになっています。中国、韓国、日本はPERを見ると割安ですが、CAPEレシオは高めです。

米国のイールドスプレッドは2月が-0.39%でしたが、3月は株価と10年国債利回りが少し下がったので-0.61%になりました。

トルコ(3.49%)、インド(2.79%)、南アフリカ(2.58%)、メキシコ(2.49%)、ブラジル(2.46%)は割高です。


現在、割安だと思われるERUS(iシェアーズ MSCI ロシアETF)の買い増しを続けていますが、EPOL(iシェアーズ MSCI ポーランドETF)やIEER(iシェアーズ MSCI 東欧キャップト UCITS ETF)も魅力的に思えますね。IEERは国内ネット証券では取扱いがないみたいなので買えませんが…


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